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光の柱、砂、指|#ある惑星の出来事1

by 立花実咲|Misaki Tachibana

砂。

と、呼べば良いだろうか、この白くて指通りの良い小さな粒のまとまり。

もうずいぶん前から、あちこちで光の柱が突然立ち上がったり、ゆっくり残像を歪ませながら消えたりしているのだけれど、それがいつくらい前のことだったのか、光の柱を初めて見たのがいつだったのか、思い出せない。

砂、と呼ぶべき指通りの良い小さな粒のまとまりは、すくっても全部をすくいきれずに、いくつかこぼれ落ちる。

光の柱が立ち上がるたび、砂、をすくう指が、なぜだか一つずつ消えてしまうので、だんだんと砂、をすくうのが難しくなってきた。

光の柱が立ち上がった日、指は何本あったっけ?

今、砂、が、じゅうぶんにすくえなくなって、手が、なんだかひとまわりくらい小さくなって、これって、いつから、これくらいだったっけ。

思い出そうとすると、こめかみの辺りが急にギリギリと痛み出す。


目を開けていられないくらい、太いネジを無理やりねじ込められているような。

そしてその痛みは、光の柱が立ち上がる合図。

だから、なるべく指が初めて消えた日のこととか、砂、を、すくうことはなるべく考えないようにしていたのだけれど、砂、は、光の柱が立ち上がってゆらめきながら消えていくと、さあっと吹いて、残った指の間をさらっていくから、風に舞う砂、を、つかもうとして手を伸ばす。

その砂、が、何度目かのわたしの、残った指の間を吹き抜けていった時、光の柱が落とした影に、どこかで見たことのある指の形。

もう覚えていない、なくなってしまった指の感触を、影をなぞって思い出そうとしてみたのだけれど。

あの日、わたしはどこにいたっけ。

この影は、あなたは、どこで見たのだっけ。

わたしが、掴もうしていたもの。

砂?

白くて小さな、指通りの良い小さな粒のまとまり。

光の柱が立ち上がるたび吹きすさぶそれ。

無くなる指、行方不明。

行方不明になった、影にも残らない、あなたの面影。

砂、のようなもの。

写真提供:@chanuuuuuさん(縁側のある平屋に住むのが夢。一日一回更新:https://medium.com/9hours


立花実咲|Misaki Tachibana
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